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3話 喪失者

Author: ニゲル
last update Last Updated: 2025-07-06 13:19:15

目の前の、わたしを助けてくれた男性がこの街を仕切る領主の息子。そんな信じられない事実に開いた口が塞がらない。

「自己紹介が遅れてすみません。僕はロンド・テオス。所長が紹介してくれた通りこの街の領主の次男です」

彼は相当な地位の者だというのに、威張ったり偉ぶったりする様子はない。寧ろ物腰丁寧で従者のようだ。

「え、えーとその……」

「そんな畏まらなくてもいいよ。今はお忍びで来てる、ただのロンドだから」

「は……はぁい」

とは言ったものの、やはり緊張してしまう。

「とにかく二人で調査頼むぞ」

「はい……って、わたしとロンドさんでですか!?」

「おうそうだぞ。二人で協力して頼む」

「い……いやいや貴族の人をこき使うなんて正気ですか師匠!?」

領主の息子をこき使うなんて、こんなことバレたら下手したら打ち首ものだ。

「いえ僕は別に大丈夫ですよ。今はただの一個人ですし、こういう探偵の調査とかもしてみたかったですから」

師匠とロンドさんは乗り気で、狼狽えているのはわたしだけだ。結果多数決で負け彼が同行することになる。

無論嫌ではないし、こんなカッコいい人と仕事ができるなんて寧ろ光栄だが、緊張のあまり集中力が落ちて自慢の洞察力が鈍ってしまう。

(そうだ……緊張を無くすためにも何か世間話でもすれば……!!)

「あ、あの〜ロンドさんって普段はどんなことをしていらっしゃるんですか?」

「基本的にはイメージ通りだと思いますよ。税の管理や政治をやったり……あ、でも僕はよくこうやってお忍びで来たりとかしますかね」

「え……危なくないんですか? そういうの」

ロンドさんは確かに良い人だが、貴族である以上敵も居るだろうし街中を護衛を付けずに歩くなんて危険極まりない。

「どちらかというと顔が割れているのは兄さんや父さんですからね」

「あー確かに……話を聞くのは長男とか領主様が多いですね」

思い返してみれば街の人と話す際に話題に上がるのはいつも彼の父にあたる領主様や、兄にあたる長男についてだった。次男であるロンドさんに関しては好青年というくらいしか聞かない。

「やっぱり領地を治める者として実際に人と会いたくて。上でふんぞり返って、民の気持ちも分からない貴族にはなりたくないですから」

「……すごいですね」

あまりの人格者っぷりに、ここまでできた人間が本当に居るのだと感心してしまう。

「そう言う貴方はどんな理由で探偵をしているのですか?」

「わたしは……強いて言うならみんなの未来を守りたいから……ですかね?」

「未来?」

「はい……実はその、わたし二年前に記憶喪失のところを師匠に拾われんです」

わたしは彼ならきっと悪い風には思わないだろうと確信しており、すんなりと自分の秘密を打ち明ける。

「記憶喪失……? 頭でも打ったんですか?」

「そういうわけじゃなくて……原因は分からないんですけど、川辺に倒れてたらしくてそこを拾われたんです。記憶が戻るまではここに居ていいって言ってくれて……まぁこの二年間で何も思い出せませんでしたけど」

このシュリンという名前も師匠から貰ったもので本名ではない。一般的な知識は何一つ欠如しておらず、寧ろ普通の人より多いくらいなのに自分や家族については綺麗なほど記憶が抜け落ちていた。

「だからわたしには過去がないんです。あるのは探偵助手として師匠に育てられたことと、この街の人達との記憶だけ。だからわたしはそれを守りたいんです」

「僕もこの街が好きですから、志は一緒ですね」

「ふふ……そうですね!」

ひょんなことからお互い共通点を見つけ気づけば話が弾んでおり、それからの時間は倍速になったのかと思うほど速かった。

資料にあった住所に着いた頃にはとっくに緊張は解けており、お互い自然と笑顔を浮かべていた。

「えーっと場所は……このパン屋ですね」

街の中心にポツンとあるパン屋さん。お昼を過ぎ大体は売り切れた後なのだろうが、それでもほんのりと良い匂いが漂っている。

「よし! じゃあ今日も頑張りますか!」

己の頬を叩き鼓舞し、わたし達はパン屋の中に入るのであった。

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